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マンションのエレベーターを降りると、僕の隣の隣の部屋の扉が開いていた。いや 勝手に開いているのではなくて人の手によって“開けられていた”という方が正しいだろう。
扉は若い男性の体全体で固定されていた。部屋からはオレンジ色の温かい光が漏れていて、彼女と思われる女性が「待って。もうすぐ用意できるから」というような事を言っているのがイヤホン越しに聞こえた。彼らは三連休で旅行にでも行くのだろう。彼氏のキャリングケースがそれを物語っていた。キャリングケースと言っても成田空港で見かけるようなそれとは違う。ナイロン製のバッグにキャスターが付いているような代物で、自在に方向転換できるものでもなければ人の重さに耐えうるような強度ももちろん無いだろう。温泉だろうか??あるいは近くのアミューズメント施設に行くために彼氏が彼女の家に泊まりに来たのだろうか??彼もネズミ耳のカチューシャをつけてパレードを楽しむのだろうか??
そんな事を考えているうちに彼は僕の存在に気づき、こちらを向いた。彼女と話しながら首を捻ったので挨拶はできなかった。僕の方も宅配物で両手がふさがっていて口には手紙をくわえていたので挨拶はできなかった。やろうと思えば出来たのだが何故かためらわれた。
それは彼女との会話を妨げてはいけないという善意だったのかもしれないし、寒い冬の夜に“出発”前のあの一種独特な気持ち―落ち着きの無い好奇心と期待とほんの少しの不安が入り混じった―が彼の表情から読み取れたからかもしれなかった。あれは古い駅や不便な街も旅の醍醐味に変えてしまう。
彼にはあって僕には無いもの。
僕は黙って鍵穴を回し、オレンジの世界に飛び込んだ。
扉の向こうからは彼女の小走りなブーツの音色が響いていた。



一瞬やったんやけど何かすごく記憶に残ったもので(^ω^;)
題名下さい(笑)
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  • 無題
ゆきんこ 2007/11/24(Sat)12:26:50 編集
う~ん・・・

色々考えたけど難しい(>_<)
  • >ゆきんこ
リックマニア 2007/11/25(Sun)23:33:54 編集
でっ ですよねー(^ω^;)

あえて無題のままにしときます(^ω^)

考えてくれてありがとうです(*´ω`)人(´ω`*)
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